感銘を受けた本から広がるビジネス・ネットワーク。

感銘を受けた本から広がるビジネス・ネットワーク。

野村不動産アーバンネット株式会社ノムコム推進室 室長林 陽平さん

多様なユーザーのニーズに応える不動産物件情報サイト「ノムコム」。住居用から投資用、女性向けのサイトなど、1社でここまで細分化したメディア展開をしている会社は類を見ない。TRENDRINGの記念すべき第一回は、この「ノムコム」の運営責任者であるノムコム推進室室長 林陽平さんに、「ノムコム」がターゲットを分けることで目指す本当の姿と、それを支える人的ネットワークの作り方について伺った。

林陽平さんのトレンドリング
野村不動産アーバンネット株式会社 ノムコム推進室室長 林 陽平さん(42歳)
関西学院大学卒業後、1991年野村不動産株式会社入社。町田センター センター長などを経て、2004年流通事業本部営業推進部に異動。2007年ノムコム推進室に異動し、現職にいたる。
※野村不動産アーバンネット株式会社の設立は2001年

― 現在、携わっている業務についてお聞かせください。

ノムコム当社においては集客の多くを自社サイト「nomu.com」(以下:ノムコム)が担っています。そのため、必然的にこの「ノムコム」をどのように活用するかが当社の営業戦略上、最も重要な課題です。住まいに関わる多くの情報を提供し、ユーザーに繰り返しアクセスいただくことを考えていますが、キラーコンテンツはなんといっても「物件情報」ですので、情報の「量」「質」を左右するのは現場の営業担当者次第となっている部分が多くあります。「ノムコム」と営業サイドが連携を取って、このメディアをより良く活かせる状態にすること、それが私のメインミッションです。

― 「ノムコム」はターゲットに応じた多彩なサイト展開をされていますが、そこに至った経緯について教えていただけますか?

当社が運営するメディアですから、すべて不動産情報を扱っているのですが、「ノムコム」は居住用、「ノムコム・プロ」は投資用、「ノムコム・ウーマン」は女性向け、「ノムコム・フォー・メン」は男性向け、とそれぞれのターゲットに合わせて作りました。というのも、同じサイト内で居住用はこちら、投資用はこちらとしたのではユーザビリティにも限界があります。投資家は物件写真よりも単刀直入なスペック情報を重視します。一方で、ご自身がお住まいになるために不動産を探されている方の場合では、情緒のある周辺環境の写真も注視されるでしょう。ユーザーの使い勝手を追求し、ニーズに応じた的確な情報のみを可能な限り盛り込むことを考えれば、ターゲットを分けたサイトの構築はむしろ当たり前のことだと感じます。

これまで「不動産は地域に密着した商材」という考え方が強く、最寄りの店舗に行って物件を探すことが多かったのですが、今では、まずインターネットで情報収集をする人がほとんどです。業界には当社よりも規模が大きく、多くの店舗を展開している会社が多くありますが、規模や店舗数の拡大は短期間でははかれません。一方、Webサイトはどの会社も基本1つしか用意されていないので、当社ではこの「ノムコム」に大きく投資をすることで、大手のシェアに対抗しようとしているわけです。

― 「ノムコム」はさらに影響力を増していくのでしょうね。

林陽平さんたとえば、「マンション」というキーワードで「ノムコム」を訪れたユーザーの中には、当然、賃貸物件を探して訪れた方もいるでしょう。しかしながら、売買を目的としている方と、賃貸借を目的としている方とでは、やはりほしい情報が異なります。同じサイト内で両方の物件情報を掲載してご覧いただくのでは、ユーザーの使い勝手を悪くしてしまいます。そこで、賃貸情報サイト「ノムコムの賃貸」を用意し、ユーザーのニーズに十分に応えて“ノムコム・ファン”になっていただく。そうすることで、「ノムコム」シリーズ全体の価値を上げ、影響力を増大させることができると考えます。

― では、現在注力されているコンテンツをいくつか教えてください。

ひとつは、「中古マンションライブラリー」という、首都圏と大阪圏の中古マンションのさまざまな情報を掲出するコンテンツを先日(2009年10月)オープンしました。新築マンションが脚光を浴びて、中古マンションの売買が少なかった日本ですが、近年、中古マンションの流通を推進するという観点で、制度改革やリフォームの促進が行われていますから、今後は中古マンションの需要が増えていくでしょう。「中古マンションライブラリー」はそうしたユーザーのこだわりにいち早く応えられる情報の提供を目指しています。

またもう一つ、「ノムコム・ウーマン」を挙げたいと思います。「ノムコム・ウーマン」の特徴は、サイトコンテンツだけではなく、そこから派生するサービスにおいても女性のニーズに応えられるよう配慮している点です。具体的には、女性のお客様からのお問い合わせには女性の営業担当者が対応し、そのまま専属で担当させていただきます。男性は住まいを選ぶ際の条件として価格や駅からの距離などを優先しがちなことに対して、女性は生活環境を大切にする傾向があります。男性の営業担当者には本音で話しづらいことも、同じ目線、同じ感性の女性担当者なら話しやすいと思います。また、「女性の不動産売買を考えるプロジェクト」を発足させ、お客様を招いて女性担当者が講師を勤める勉強会を2カ月に1回開催しています。

― それでは、林さんご自身が人的ネットワークを広げるために意識されていることはありますか?

林陽平さん仕事に活かせる著書を読んで刺激を受けるようにし、「これは活かせる」と感じたものは直接著者にお会いして社内研修の講師をお願いしたり、著書を社内向けに変更したマニュアル作成のお手伝いをお願いしたりしています。最近ではインターネット対応に注力しており、お客様とのメールコミュニケーションを向上させる方法や、社内のナレッジ共有に取り組んでいます。

そういった中、たまたま新聞でメール文書の書き方を解説した記事を見つけました。とても分かりやすい内容でしたのでその記事を連載していた方に直接連絡し、当社のメール営業マニュアルを一緒に作成させていただきました。

ほかにも、「世界№2ウーマンの『売れる営業』に変わる本」(ダイヤモンド社刊)などの著書で知られる和田裕美さんの営業パーソンとしての考え方に感銘を受け、当社の営業担当者に直接話をしていただけないかと相談しました。何度か打ち合わせをさせていただき、通常のセミナーではなく12回にわたる営業担当者とのディスカッション形式の研修を実施していただきました。そのような過程を経て、和田さんの著書に当社の営業担当者のエピソードを入れていただくなど、継続してお付き合いさせていただいています。

また、建築関係の本の著者にも連絡し社内研修をしていただいただけでなく、私が懇意にしている研修会社を紹介し、ひとつのトレーニングメニューとして作り上げたこともありました。

― 最後に、ご紹介いただいた松井紀美子さんとの出会いや、その後のお付き合いについてもお聞かせください。

林陽平さん絵本を出版している株式会社マイティブック代表取締役の松井紀美子さんとのご縁は、当社の顧客サービスマニュアルを制作していただいたのが始まりです。打ち合わせを重ねていくうちに、絵本を通じて子供は成長するのだという彼女の信念や損得を越えた熱意に感銘を受けました。そこで少しでも役に立ちたいと考え、松井さんが手がけているフリーマガジンの「ママチャリン」を当社34の全店舗に置くことで協力させていただいています。これからも色々な場面でコラボレーションさせていただきたいですね。