情報は、オープンにすればするほど入ってくる。

情報は、オープンにすればするほど入ってくる。

株式会社トランスブレインプロモーションディレクター藤野正成さん

株式会社トランスブレイン世の中には、さまざまな業界に特化したコンサルティング会社がある。だが、葬儀社専門のコンサルティング会社については、あまり耳にしたことがない。今回は、全国の葬儀社に対し、広告展開の手法をコンサルティングする、株式会社トランスブレインのプロモーションディレクター・藤野正成さんに、葬儀業界の現状やトレンド、業界としての取り組み、そして効果的な情報収集や人脈づくりの仕方について伺った。

藤野正成さんのトレンドリング
株式会社トランスブレイン プロモーションディレクター 藤野 正成さん(31歳)
介護保険コンサルティング会社を経て、遺影写真の画像処理会社に入社。人事を担当。その後、社内ベンチャーにて葬儀社の広告を扱う新規事業に着手。2008年に分離独立し、株式会社トランスブレインの設立に参加。

― このたび藤野さんをご紹介くださった、株式会社CS・グループの梶谷隆之さんとの出会いについて教えてください。

梶谷さんとは、当社の代表から紹介されたのがきっかけです。今から2、3年前だったと思います。以来、友人として交流してきましたが、最近はビジネスパートナーとしてもお付き合いさせていただいています。結婚式を扱う梶谷さんと、葬儀を扱う当社が一緒にお仕事をすることになるとは思ってもみませんでした。

― 御社は、葬儀社専門の広告企画会社とのことですが、どのようなサービスを提供しているのですか?

藤野正成さん全国の葬儀社に対し、消費者へのサービスの伝え方などをコンサルティングしながら、広告の企画・制作を行っています。もともとは、ある企業の社内ベンチャーから独立したのですが、実働2年で約140社のクライアントとお取引させていただくようになりました。ほとんどが紹介や問い合わせのお客様です。葬儀社に特化した広告会社はあまりないので、それが強みになっているのだと思います。

―具体的には、どのような提案を行っているのですか?

ほとんどの葬儀社さんが地元の中小企業であるため、広告制作に不慣れな場合が多いんです。祭壇の写真を大きく使ったような広告ばかりで、消費者が望む情報が入っていない。消費者が求めているのは“立派な祭壇”ではなく、“人間らしさ”だと思うんです。そこで当社は、スタッフを前面に押し出すなど、これまでの葬儀業界にはなかった新しい広告手法を提案し、ブランドづくりのお手伝いをしています。

商品企画やマーケティングに関する提案をすることもあります。たとえば、株式会社神奈川こすもすの清水宏明社長が開始された火葬のダビアスもその事例のひとつです。今は価値観の変化や多様化で「シンプルな葬儀を挙げたい」と考える人が増えているんです。現に、東京23区で亡くなる人の約3割が葬儀を一切行わないと言われていますし、家族葬や密葬、お別れ会などのニーズも増えています。「そのようなニーズに応えつつ、葬儀を通じて社会貢献ができる新しいブランドを立ち上げたい」これが清水社長の想いでした。そこで当社は、“選んだのはシンプルなおくりかた。こんな別れもあのひとらしい。”というキャッチコピーをメインに、シンプルでも尊厳ある葬儀ができるというブランディング・広告ツール開発に協力しました。すると、たいへん大きな反響があり、「こういうものを探していた」と泣きながら電話をくださるお客様もいらっしゃったそうです。

藤野正成さんこれまでの葬儀業界には売り上げ重視の風潮があり、必要以上に派手な葬儀を勧めてきました。葬儀業界が、ともすると“ブラック”と言われる所以です。火葬のダビアスのような新しい切り口のサービスを展開することで消費者の選択肢が増えれば、良いサービスを提供する会社だけが残る。業界もクリーンになります。そのためにも、今後も葬儀業界の古い慣習にとらわれず、新しいトレンドを作っていきたいと考えています。

最近、「サスティナブル(=持続可能な)」という言葉に関心が集まっています。それは、今のままではいけないという危機意識や社会的不安の現れだと思うんです。葬儀は日本の文化のひとつです。でも、このままでは廃れてしまうでしょう。高齢化が進んだとき、どんな葬儀ができるのか? “サスティナブルな葬儀”が私のテーマでもあります。生き生きした人生を送らなければ、葬儀は輝きません。今後は、生きていくことを応援していく葬儀社が残っていくと考えています。

― 梶谷さんと、「いのちのリレー」プロジェクトを立ち上げたそうですね。どのような経緯で生まれたのですか?

社会貢献にもいろいろな方法があります。たとえばコンビニで募金するとか。でも、続けられるサイクルに乗せなければ、なかなか継続できません。そのサイクルとして有名なのが、ソフトバンクホークスの和田毅投手が実施している「僕のルール」ではないでしょうか。和田投手は、試合で一球投じるごとに10本のワクチンを寄付、勝利試合では20本、完投勝利では30本、と自分なりのルールを定め、継続的な寄付活動を行っています。当社もその姿勢に共感し、葬儀を起点にして社会や命に何か貢献できないかと考えるようになり、梶谷さんともよく話をしていました。そんな中で生まれたのが、「いのちのリレー」プロジェクトです。

葬儀では、写真や返礼品などたくさんの物が消費されるので、それらの消費によってワクチンが寄付できる仕組みを作りました。これが、「1ギフト=1ワクチン」(葬儀の返礼品1個につきワクチン1本分を寄付)です。そのほかにも、いくつかの企画を用意し、世界の子どもたちにワクチンを届ける取り組みをしています。大切な人を亡くして悲しんでいるご遺族も、葬儀をすることで誰かの命に繋がる(=リレーする)と思えば、少しは心が安らぐこともあるかもしれません。死を起点にして、命について考えるよい機会にもなります。このプロジェクトに業界全体で取り組むことで、日本の葬儀業界から世界へメッセージを発信したいと思っています。

― 日頃、どのようにして情報を得たり、人脈を広げたりしていますか?

藤野正成さん「情報は、オープンにすればするほど入ってくる」というのが持論なので、自社のノウハウなど、話せることはすべて人に話すようにしています。こちらから情報を提供することで、代わりに情報をもらえたり、人脈が広がったりするからです。たった5分の世間話からでも貴重な情報を得られることがあるので、できるだけ人に会って話をするように心がけています。人に話すと、自分の中で情報が整理され、考えがまとまりやすくなるというメリットもあります。その際、自分の理論や意見をしっかりと表明するようにしています。たとえば、小規模葬儀のアイデアにしても、業界的にはあまり好まれない発想なのですが、恐れず持論を展開しています。なぜなら、その考えに共感してくれた人だけがコンタクトしてくれ、“良い人脈”が広まっていくからです。世の中の大半は、何かを伝えることで成り立っていると思うんです。そのなかでも葬儀ほど伝えにくいものはありません。私はこの葬儀というフィールドで、伝えるお手伝いができればと考えています。

― 次回、登場予定の増田進弘さんとの出会いや、その後のお付き合いについて教えてください。

段ボールと間伐材でできた棺「エコフィン」を製造・販売する、ウィルライフ株式会社代表取締役・増田進弘さんは、あるNPOのお仕事で知り合いました。四万十川の森の復旧にも努めている“エコな人”で、環境についていろいろと教えていただいています。