教える側に必要なのは、「教えすぎない我慢」。

教える側に必要なのは、「教えすぎない我慢」。

個別学習のセルモ 世田谷烏山教室オーナー兼経営者丸山浩器さん

最近では、学習塾にもさまざまな形態や指導法があるらしいのだが、そのなかでも、パソコンに向かって個別に勉強を進めていく形態を「パソコン学習」というのだそうだ。今回は、「自分の目の行き届く範囲で、平等な指導を行いたい」という思いから、パソコン学習の塾をFCオーナーで始められた丸山浩器さんに、最近の子どもの傾向や教えるうえで心がけていること、日頃の情報収集などについて伺った。

丸山浩器さんのトレンドリング
個別学習のセルモ 世田谷烏山教室 オーナー兼経営者 丸山 浩器さん(42歳)
ドラッグストアをチェーン展開する企業で店舗運営・エリアマネジメント・人材開発などに従事。その後、教育関連の企業に転職し、個別指導塾の運営業務全般を手がける。2010年、FCオーナーとして「個別学習のセルモ 世田谷烏山教室」を開校、みずから生徒の指導にあたっている。

― このたび丸山先生をご紹介くださった、キッチンさらぼんの牧野美保さんとの出会いについて教えてください。

一昨年にこの塾を開校したとき、高校受験を控えていた牧野さんの2番目のお子さんが、うちに通われることになったんです。娘さんは見事志望校に合格し、その後、下の息子さんも通われるようになりました。最初のころはいわゆる“保護者と塾の先生”というお付き合いだったのですが、牧野さんは気さくな方で、世間話をしているうちに、公務員からお弁当屋さんに転身されたということを知りました。実際にお弁当を買って食べてみると、美味しくて。それ以来、毎週通いつめているんです。経営者としても子育てにおいても、自分がこれから経験するであろうことを少し先に経験されている先輩なので、お話を伺うとためになります。それと地元の情報なんかも教えていただいています。

― こちらの塾を開校される前は、企業にお勤めだったとか。

丸山浩器さんはい。大学を卒業後、ドラッグストアを全国にチェーン展開する企業に就職して、店長やエリアマネージャーなどを経験したあと、人材開発部に配属になりました。もともと大学時代に家庭教師のアルバイトをするなど、教えることに興味はあったんですが、社員教育を担当しているうちに、教育への興味が沸々と再燃して、大人よりも子どもを教えてみたいと思うようになったんです。それで教育関連の企業に転職して5年ほど塾の運営業務全般を学んだあと、現在の「学習塾セルモ 世田谷烏山教室」をオープンさせました。

― なぜ大人ではなく子どもに教えたいと思われたのですか?

娘が生まれて父親になったことも大きなきっかけになりましたが、社員教育を担当しているときに、何となく気づいたことがあったからです。それは、小中学生までの環境や親との関わりなどで身に付けた根本的な物の考え方や取り組む姿勢といった癖は、大人になってからではなかなか変えられないということです。もちろん、社員教育を担当した人たちの子ども時代を実際に知っているわけではないので、これはあくまで私が感じたことにすぎません。でも、子どものころに勉強や部活などを通じて、自分で考えて答えを導き出すという体験を多くしてきた人は、大人になってから、俗に言う「仕事のできる人」になっていることが多いような気がしたんです。そういう考えもあって、すでに出来上がっている大人よりは、子どもを教えてみたいと思うようになりました。

― 数ある学習塾のFCのなかで、「パソコン学習」を選ばれた理由は何だったのでしょうか。

丸山浩器さん独立するにあたってどんな塾にしたいかを考えたとき、出てきた答えが「自分の目の行き届く範囲で、一人ひとりの生徒に平等な指導ができる塾」でした。いくつか学習方法を検討したなかで、感銘を受けたのがセルモの「パソコン学習」だったんです。パソコン学習というと、機械的なイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、一から十までパソコンで完結させるわけではなく、ひとつのツールとして利用し、わからないところがあれば、私が個別に指導するという形をとっています。最近の子どもたちはゲームなどでパソコンに慣れているので、操作の飲み込みがとても早く、楽しみながら集中して勉強できるようです。

パソコン学習は、立体の図形など三次元のものを理解したり、ネイティブスピーカーの英語の発音を聞くなど、音や視覚的な効果が必要なものに大きなメリットがあります。反復学習にも向いています。反面、書くことがおろそかになってしまうという懸念もあるので、学習したものをプリントアウトして持って帰ってもらい、書いて覚えるというアナログの学習も併せて行っています。

― 生徒さんを指導するうえで、心がけていることはありますか。

丸山浩器さん恥ずかしながら最近になって気づいたのですが、「教えすぎないこと」でしょうか。教える側は、つい一生懸命に教えようとしてしまいますが、それはよくない場合もあります。教わったほうはわかった気になって満足して終わってしまいますから。結局は自分で問題を解かなければ身に付かないんです。個別指導の塾というと、べったり張り付きで指導してもらえると思ってらっしゃる親御さんも多いのですが、「教えない我慢」も必要です。張り付きで教えるのが悪いとは言いませんが、過干渉もよくないと私は思っているので、簡単に答えを教えずにヒントを出すなどして、自分の頭で正解を導き出してもらうように心がけています。保護者の方々にもそのやり方をご理解いただいています。

また、最近の子どもたちは、生活態度に問題のあるような、いわゆる“やんちゃな子”はそれほど多くありません。どちらかと言えば、おとなしくて、喜怒哀楽をあまり出さない子が多いような気がします。わからないことがあっても恥ずかしくて訊けないという子もいます。ですから、私のほうが喜怒哀楽を出すように心がけています。褒めるときはもちろんですが、叱るときも真剣に叱ります。宿題をやってこなければ、小学生でも授業を受けさせずに帰らせますし、時間などの約束事を守れなかったときにも厳しく指導します。ひとつのスペースに小学生と中学生が混じって勉強しているので、中学生を指導するときには、あえて小学生にも聞こえるように言います。そのほうが数年後の自分をリアルに実感できて、面と向かって言われるよりも心に響くこともあると思うので。勉強はテクニック的なことだけでなく気持ちの部分も大切なので、塾という狭い空間だからこそできる気持ちの教育もあるのかな、と思っています。

― そのように教育者であるいっぽう、経営者でもあるわけですよね。

丸山浩器さんそうです。すべてひとりでやっているので、いかに備品のコストを削減するかといったことを気にかけたり、新入社員のようにチラシをポスティングして回ることもあります。でも、そういったことは生徒たちには一切関係のないことなので、気持ちの切り替えが必要です。経営者として自由度が高いぶん、責任もありますが、一つひとつのことを楽しむようにしています。ひとりで迷うようなときは、FCのほかの教室の先生に相談したり、アイデアをもらうこともあります。セルモはFCにしてはめずらしく横のつながりが強いんです。先日も九州のある教室の先生とSkype(※)で話をしたところです。生徒への対応の仕方には、あまり地域差はありませんから、そうやって別の地域にいる同業者と交流をもつことで刺激をもらっています。ほかには、教材会社が主催するセミナーなどには参加して、新しい情報を収集するように心がけています。

― 次回、登場予定の秋元圭大さんとの出会いや、その後のお付き合いについて教えてください。

昨年、株式会社グローバルツアーという旅行会社を立ち上げられた秋元さんは、私が大学時代に家庭教師をしていた生徒さんのご主人なんです。不思議なご縁もあるものですよね。私がもともと旅行業に興味があったので話が合い、家族ぐるみで親しくさせていただいています。旅行業がインターネットに移行しているなかで、インターネットを切り口にしながらも、手配旅行の相談にはみずからお客様のもとに出向いていくなど、きめ細やかなサービスを提供されています。優しい人なので、いかにも彼らしいと思います。