価値観はいろいろ。自分の物差しは捨てること。

価値観はいろいろ。自分の物差しは捨てること。

Wedding LAB代表/ウェディングプランナー遠藤佳奈子さん

結婚が決まると、まずは結婚情報誌を買い、式場探しをする人が多いのではないだろうか。今回ご紹介するWedding LAB代表の遠藤佳奈子さんは、そんなウェディング業界の現状を変えるべく、フリーランスのウェディングプランナーへの道を選んだという。「東京の大人の女性のためのウェディング」をプロデュースしたいという遠藤さんに、斬新なアイデアを生み出すコツや、アイデアの種となる情報収集の仕方などについて伺った。

遠藤佳奈子さんのトレンドリング
Wedding LAB 代表/プロデューサー 遠藤 佳奈子さん(31歳)
新卒で株式会社ベストブライダルに入社し、数々の結婚式をプロデュースする。その後、一時的に異業種へ転職するものの、ブライダル業界に戻ることを決意。独立も視野に入れ、ブルガリホテルズ&リゾーツに入社。2010年に独立、現在はフリーランスでウェディングプランナーとして活動中。

― このたび遠藤さんをご紹介くださった、株式会社グローバルツアーの秋元圭太さんとの出会いについて教えてください。

私がベストブライダルという会社で、青山のセントグレース大聖堂の開業準備を担当したときに、サービス部門を指揮していたのが秋元さんだったんです。最初はお互いの立場の違いや強い思い入れもあって喧嘩になることも多くありましたが、秋元さんはこちらの意見も真剣に受け止め、とことん話し合ってくれました。いわば戦友ですね。今は仕事での関わりはないのですが、今後何か一緒にできればと思っています。

― 遠藤さんは、一時期ブライダル業界を離れていたことがあったとか。

遠藤佳奈子さんはい。ウェディングプランナーの仕事は好きでしたし、自分に合っているとも思っていたんですが、あまりに多忙でいつも時間に追われ、気づけばミスなく施行することで精一杯になっていたんです。それで思い切って転職をしました。弁護士秘書や企業の受付などまったく違う業種、違う職種に就いてみたんですが、いろいろ経験しているうちに、かえってブライダルの仕事の面白さや素晴らしさが見えてきたんです。とはいえ、以前のように月に10件もの結婚式を担当するのは気が進みませんでした。せっかくいいアイデアを思いついても、それを実行に移す時間がないのでは意味がない。最高のパフォーマンスを出そうと思ったら、月4件程度に絞ってじっくり取り組みたいと思ったんです。たとえば、カプチーノを注文したときにラテアートでウサギなどが描かれていると、味は同じでも何だか嬉しくなりませんか? あのウサギを描く時間がほしいと思ったんです。そうなると、やはり企業に属して実現するのは難しい。既存の「ザ・ウェディング」に疑問も感じていましたし、こうなったら自分でやるしかないと思ってフリーランスの道を選びました。

― フリーランスのウェディングプランナーというのは珍しいのでは?

そうですね、私のほかにも何名かいらっしゃいますが、ウェディングプランナーはたいてい式場に属しています。そういう背景もあって、結婚を決めたカップルはまず結婚情報誌を買うというのが一般的になっていて、その時点で「式場選び」になってしまうんです。でも私は、「プランナーで選ぶ」という選択肢が必要だと考えているんです。もちろん、ウェディングはハードも大事ですがソフトこそが大きな影響を与えるものと知っているからです。また、フリーのプランナーなら、予算・場所・内容の自由度が高く、しかもそれが適正価格で提供できます。東京では30代、40代で結婚される方も多く、しかもみなさん個性的。そんな東京だからこそ、フリーのプランナーが提供できる価値があると思うんですよね。ホームページやブログでの発信、「みんなのウェディングプランナー」での告知の甲斐もあって、最近は少しずつですがフリーのウェディングプランナーの認知が高まってきています。

― 遠藤さんの考える、「いい結婚式」とはどういうものですか?

遠藤佳奈子さん新郎新婦はもちろんですが、列席された方があとになって「あの式はよかった」と言えるような結婚式でしょうか。そのために居心地のよさと充実した時間を、五感で感じてもらえるように工夫を凝らしています。新郎新婦のこだわりとゲストの居心地のよさをうまく両立させるのがプランナーの腕の見せどころです。

また、私は『SEX AND THE CITY』が大好きで、もう何十回もDVDを観ているほどなんですが、初めて観たのがニューヨーク行きの飛行機の中だったんです。で、いざニューヨークの街を歩いてみると、かなりふくよかな女性でも体のラインを露出する服を着ていたりして、「これが私よ!素敵でしょ!なんか文句ある?」と言わんばかり……。その姿は自分らしさに自信を持ち、人生を楽しむことを知っているようで、すごく素敵に見えたんです。東京の女性も近々こんなふうになるのではないかと感じました。東京の大人の女性は綺麗で、仕事もバリバリこなして、かっこいい。自分のスタイルを確立しています。そんな大人の東京の花嫁はそろそろありきたりな結婚式に飽きているのではないか、と。経験豊かな大人になると、例えば大袈裟にスポットライトを浴びて披露するのは小っ恥ずかしいし、ゲストも何度も列席経験がある……だからこそありきたりな儀式ではなく、ニューヨーカーのように自分らしく、おしゃれで自由に楽しめるパーティーにしたいという人もいるのではないでしょうか。私自身も年を重ねるごとに自分がしたいウェディングは変わりますし、そういう東京の大人のためのウェディングをプロデュースしたいという思いがあります。

― プランを立てるとき、どんなふうにアイデアを出しているのですか?

遠藤佳奈子さん日頃から雑誌を、特に女性誌をかなり読んでいます。ウィンドウショッピングも大好きで、3駅ぐらいは平気で歩きます。流行りものを押えておくという意味もありますが、どちらかと言えば色々な価値観を知るためです。というのも、若手のころにある経験をしたからです。それは、『となりのトトロ』が大好きだという新郎新婦を担当させていただいたときのことです。おふたりが持っているトトロのぬいぐるみ36体を受付に置いて総重量を当てるゲームしたいと言われたんです。今だから言えることですが、その企画がゲストにウケるかどうか、正直言ってちょっと不安でした。でも蓋を開けてみると、当日は大盛況! 頭を殴られたような衝撃でした。新郎新婦にはおふたりの価値観があって、そのご友人たちも同じ価値観を共有されているんですね。この一件を私は勝手に“トトロ事件”と呼んでいるのですが(笑)、そのときに自分の物差しで判断してはいけないと悟ったんです。

お客様との最初の打ち合わせでは、たくさん雑談するようにしています。おふたりの服装や話し方などを観察しながら、とにかく喋りまくってウケるポイントを探します。何気ない会話の中からアイデアが浮かんでくるからです。雑誌でのリサーチが役に立つこともあります。私はいつも、新郎新婦のおふたりと恋愛をするつもりでいるんです。初回の打ち合わせは、言わば友人から異性を紹介されるようなもので、わたしは一方的におふたりに恋をするんです。そして両想いになりたくて、ひたすら尽くしまくります。初対面から結婚式当日までは1年に及ぶ場合もありますから、ある意味では親友と同じくらいおふたりのことを深く知ることにもなります。時間をかけて信頼関係を築いていく仕事です。何年も前に担当させていただいたご夫婦と、今でも一緒に食事をすることもあるんですよ。

― 人脈はどのようにして広げていらっしゃいますか?

遠藤佳奈子さん以前は誘われるものには何でも参加していましたが、いつごろからか、信頼する人が誘ってくれたものだけに参加するようになりました。それはやっぱり信頼できる人からの人脈が素敵であることが多いからです。私にとって信頼できる人とは、率直に意見をぶつけたときに、しっかり受け止めてくれる人です。信頼できるかどうかを見極めるためにも、私はわりとはっきり自分の意見を言います。ブログなどでも、なるべく飾らずに自分をさらけ出すようにしています。私の価値観と合わなければそれでいいかな、と。大きな企業が万人受けを目指せばいいのであって、私はせっかくフリーなのだから、私のオリジナルな世界観や価値を提供すべきだと。。そして実績と経験を積み重ね、いつか“カリスマプランナー”と呼ばれるくらいの実力をつけたら、自分のサロンを持ちたいですね。

― 次回、登場予定の浦木健太さんとの出会いや、その後のお付き合いについて教えてください。

ワンオーナーにこだわってウェディングドレスのリユース業に取り組まれているミループの浦木さんとは、スキーヤーの友人からの紹介で知り合いました。浦木さんも元プロスキーヤーで、スキー界からウェディング業界に転身されたという異色の経歴の持ち主です。エコの観点から「リユース」が注目されているなかで、時代のニーズに合ったビジネスだと思います。起業されたのが、私がフリーになったのと同時期ということもあり、一緒に大きくなっていきたい存在です。